「解体業に興味はあるけれど、数年後に仕事が減ってしまわないかな…」
いちばん多い迷いどころです。
結論から言うと、解体の仕事は2026年以降も一定の需要が続く可能性が高い業界です。
一方で、安定して仕事が入ってくるかどうか、そして働き方は「法対応できるか」で差がつきます。

つまり、転職先の会社が、新しい法改正に対応できる所であれば、どんどん仕事が増えて安定しそうです。
逆に、法改正に対応できていない会社では、受注が難しいので不安定になるかもしれません。

ですから、転職先選びのポイントとしても、今回のトピックを知っておくと有利になりますよ。
統計と制度をもとに、転職判断に使える形で整理します。

1. 本記事のポイント

  • 空き家率は13.8%、空き家数は900万戸まで増えており、建物の更新需要は簡単に消えません。
  • 空家法の改正で「管理が悪い空き家」は放置しづらくなり、解体や活用の判断が進みやすい仕組みが整っています。
  • 2026年以降は法対応(特に石綿の事前調査)で、仕事が「できる会社」に集まりやすくなります。
  • 未経験でも、重機・段取り・法令理解ができるようになれば、長く働ける土台を作れます。

2. 空き家率13.8%と900万戸が示す、解体需要

総務省の住宅・土地統計調査(令和5年)では、空き家率は13.8%、空き家数は900万戸とされています。
数字だけを見るとインパクトがありますが、大事なのは「建物が残り続ける限り、更新(解体・改修)の仕事は必ず発生する」という構造です。

引用元:総務省 統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」

人口が減っても建物はすぐに消えません。
老朽化が進むほど、安全面や近隣への影響を理由に、解体か大規模改修の判断が必要になります。
つまり、解体は景気の波に左右されやすい一方で、ゼロにはなりにくい仕事です。

3. 改正空家法で「放置コスト」が上がった

空家等対策の推進に関する特別措置法(いわゆる空家法)は、2023年12月13日に改正法が施行されました。
改正のポイントのひとつが「管理不全空家等」という区分です。

引用元:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」

管理が不十分な状態が続き、市区町村から勧告を受けると、固定資産税などの住宅用地特例(課税標準を1/6や1/3に下げる仕組み)が外れる扱いになります。
税負担が増える可能性があるため、所有者が「このまま放置していてはまずいから、解体しようか」と判断しやすくなります。

引用元:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」

ここで大事なのは、解体が増えるかどうかを断言することではありません。
制度として「放置し続けると不利になりやすい」方向に動いた、という点が現場の追い風になり得ます。

4. 2020年代後半に山場が来るという推計の読み方

「解体工事は2028年前後にピーク」という話は、国の資料で触れられています。
ただし、資料が想定しているのは、吹付けアスベスト等を含む建材が使われている可能性がある民間の鉄骨造・鉄筋コンクリート造など、一定条件の建築物の解体工事です。
解体全体を丸ごと示す数字ではありません。

引用元:厚生労働省 公表資料(中央環境審議会 石綿飛散防止小委員会資料(抜粋)内「5-1 今後の解体等工事件数の増加について」)

それでも、更新期が重なる2020年代後半に案件が増えやすいという見方には現実味があります。
ピークを過ぎたら即仕事がなくなる、ではなく、案件の質や取り合い方が変わっていく、と捉えるほうが転職判断としては安全です。

5. 2026年問題で仕事は減るのか

2026年以降に不安が出るのは、需要よりも「法対応ができないと受注できない」場面が増えるからです。
とくに石綿(アスベスト)は代表例です。

建築物の解体・改修は、2023年10月1日以降着工の工事から、資格者による事前調査が必要です。
さらに2026年1月1日以降着工の工事から、一定の工作物の解体等では「工作物」の資格者による事前調査が必要になります。

引用元:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「建築物石綿含有建材調査者講習」

加えて、一定規模以上の工事では、石綿事前調査結果の報告(電子報告)が制度化されています。
現場が強くても、書類と段取りが回らない会社は受注しづらくなります。
一方で、法令順守と体制が整っている会社には仕事が集まりやすい流れです。

引用元:環境省 報道発表「4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」

6. 人手不足は続く。未経験が伸びやすい職種

建設業は高齢化が進んでおり、担い手確保が課題だと指摘されています。
年齢構成の面でも若手が薄く、現場は「人が入って育つ会社」と「人が定着しない会社」の差が出やすい状況です。

引用元:国土交通省「国土交通白書」内「直面する課題(担い手不足・年齢構成等)」

未経験から入りやすく、積み上げが効きやすいのは次の領域です。

  • 重機に乗れる
  • 段取り(工程・搬出・近隣対応)ができる
  • 法令(石綿など)の基礎が分かる

この3つは会社から常に求められるスキルです。

7. 解体業はAIに奪われるのか

最初に結論を述べると「解体業はAIに奪われにくい」業界です。

AIが入りやすいのは、見積・写真整理・書類作成などの事務寄りの作業です。
逆に、現場の安全判断や重機操作、想定外への対応は、建物ごとに条件が違うため全面自動化が進みにくい分野といえます。

現実的には、AIは現場を置き換えるというより、現場が回るスピードを上げる道具として使われる場面が増えていくはずです。
だからこそ、現場側の人も経験を活かしながらAIを活用していく場面が増えるはずです。

8. 転職前にここだけは確認したい(会社選びチェックリスト)

将来性は業界だけで決まりません。
入る会社で8割決まります。
求人票と面接で、次の点を確認してください。

  • 石綿の事前調査を誰がやっているか(資格者が社内にいるか、外部委託でも運用が固まっているか)
  • 安全教育が仕組みになっているか(朝礼だけで終わっていないか)
  • 重機・玉掛け・車両系など、資格取得の支援があるか
  • 書類担当が孤立していないか(現場任せで破綻していないか)
  • 近隣対応のやり方が決まっているか(トラブルを個人に丸投げしていないか)

9. よくある質問

空き家が増えているなら、解体はずっと増えますか?

増えると断言はできません。
空き家には賃貸用なども含まれ、すべてが解体に直結するわけではないためです。
ただ、老朽化した建物の更新は続くので、需要がゼロになる構造ではありません。

 

2028年がピークなら、その後は厳しいですか?

ピークという言葉だけが一人歩きしがちですが、資料の対象範囲は限定的です。
ピーク後も更新需要は残りますし、再開発・災害対応・改修に伴う部分解体など、仕事の形が変わっていくと見たほうが現実に近いです。

 

未経験でも食べていけますか?

可能です。
ただし「現場に出るだけ」だと伸びが止まりやすいので、重機や段取り、安全と法令の基礎をセットで覚えるのが近道です。
会社側に教育と資格支援があるかが重要になります。

 

資格は何から取ればいいですか?

最初は現場で求められやすい車両系(機種による)や玉掛け、小型移動式クレーンなどから入り、次に職長・安全衛生、石綿周りへ広げる流れが現実的です。
会社の工種と案件に合わせて優先順位を決めましょう。

 

将来性がある会社の見分け方は?

法対応ができる体制があるか、事故を減らす仕組みがあるか、教育に投資しているか。
この3点が揃っている会社は、仕事が集まる局面で強い傾向があります。

10. まとめ

解体業は、建物が存在する限り必要とされる工程です。
空き家の増加や制度改正は、解体や更新の判断を後押ししやすい環境を作っています。

一方で、2026年以降は「法対応と体制」で仕事が寄る流れが強まります。
不安があるなら、まずは地域の求人を見て、会社の法対応と教育体制をチェックしてください。
そこで納得できれば、転職の勝率は上がります。